1. 競馬の騎手を目指したこと
父親が競馬好きだった影響から、プロの競馬の騎手になりたいと思って、中2のときに、競馬雑誌『優駿』の募集欄を見て応募したんです。体重が応募要件より10kgくらいオーバーしていたので、夏休みをまるまる使ってダイエットして、13kg痩せて。夏休みが明けると、僕があまりに痩せていたので、しばらく誰も話しかけてくれませんでしたね(笑)。乗馬クラブに通うお金は、レストランでバイトして貯めて。騎手になるにはまず競馬学校に入学して、そこで試験を受けて合格する必要があって、乗馬クラブはそのための専門学校のような場所だったんです。当時は学校まで1時間半くらいかけて自転車で通学して、授業のあと乗馬クラブで3時間練習、自転車で家の近くまで戻り、そのあとすぐジムでトレーニング。一日の最後に自分の納得した体重まで落ちていないと、そのままプール&サウナを繰り返すこともありました。高2までずっとそんな生活でしたね。燃え尽きたのが、17歳で2回目の競馬学校のテストを受けたとき。ほかの受験生がスゴすぎて「これはもう、ムリだな」って思って。でも、完全燃焼していたので未練がなかったんですよ。もう、どんな辛いことがあっても、あのときよりは絶対に辛くないと思いますね。「人は簡単に死なないよなぁ」って、何かあると自分を奮い立たせてくれる、貴重な経験ができました。
2. web制作会社「studioNAS」の経営をしていること
2014年の11月から、studioNASというwebの制作会社を経営しています。当時フリーランスのコーダーかつラノベ作家の友人から相談を受けて、数名で一緒に会社作りました。もちろん僕には税理士としての経験しかなく、実際に経営したことはなかったので、今も勉強の毎日です。お金もないのに「経費、経費」と言ってくるみんなをどうやったらコントロールできるんだろう…というところから始まって(笑)、はや2年。でも、経営者として素人だったからこそ勉強になったこともあって。会社に勤めているときは「税金的に有利かどうか」で物事を判断することが多かったのですが、経営していると「税金的に不利でもこっちのほうが大事」という判断をするタイミングがたくさんあったんです。また、税理士は基本的に税金のことしか分からないのですが、お客さんには「税金以外の相談もしたい方」が多いことにも気づきました。
そんなとき、自分も経営者であるからこそ「僕だったらこうします」と助言することができる。studioNASではwebやITの情報に触れることが多いので、この分野の相談をされたときに、お客さんの話を掴むのが早くなったとも思います。
studioNASでの経験を通じて、「ビジネスにおいて、税金だけを切り取って話すのは不可能」だということに気づきました。だからこそ、何でも気軽に相談してほしいと思っています。
3. 「Switch」税理士法人を立ち上げたこと
studio NASと並行して、僕の個人事業として始めたのがこの「Switch」です。最初はもちろんお客さんなんてほとんどいないし、営業の方法も分からず、正直キツかったですね。自宅兼事務所の狭い1LDKで、一人寂しい思いをしていました(笑)。
なんとか税理士法人となり、鈴木さんらに加わってもらったのが2016年の10月です。
Switchの特徴の1つには、「若さ」があげられます。中核メンバーの3人は全員昭和63年生まれで、今は20代後半。この年代の税理士って、業界で見ると全体の1%もいないくらい少ないんです。開業している人に絞ると、きっともっと少ないはず。チームのメンバーに対しては、若く、それでいて能力が高いことに自信を持っています。
もう一つは「税金だけを切り取って見ないようにしている」点。
僕にとって、税金の優先順位って、実は最後なんですよ。多くの方が税金を取られないよう、なんとかして税金がかかることを避けようとする傾向にありますが、「税金かかるから」という理由で物事を判断するのは、正直イケてない。利益以上の税金を取られることは絶対にないし、税金を払ってでもお金を貯めた方がいい局面だってあります。我々の事務所には三者三様の意見があるので、様々な角度から状況を分析することにも長けています。
文 : 奥村健太郎
写真 : 山口雄太郎
取材協力 : 株式会社 studioNAS